73年前の今日。<東京大空襲>

図書館で借りた

 

石垣りんの詩集

『宇宙の片隅で』より。

 

「弔詞」

  職場新聞に掲載された105名の戦没名簿に寄せて

 

ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる。

 

ああ あなたでしたね。

あなたも死んだのでしたね。

 

活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとぢられたひとりの人生。

 

たとえば海老名原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。一九四五年三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。

 

あなたはいま、

どのような眠りを、

眠っているのだろうか。

そして私はどのように、さめているというのか?

 

死者の記憶が遠ざかるとき、

同じ速度で、死は私たちに近づく。

戦争が終わって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。死者は静かに立ち上がる。

さみしい笑顔で。

この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。

 

私は呼びかける。

西脇さん、

水町さん、

みんな、ここへ戻って下さい。

どのようにして戦争にまきこまれ、

どのようにして

死なねばならなかったか。

語って

下さい。

 

戦争の記憶が遠ざかるとき、

戦争がまた

私たちに近づく。

そうでなければ良い。

 

八月十五日。

眠っているのは私たち。

苦しみにさめているのは

あななたち。

行かないで下さい 皆さん、 どうかここに居て下さい。

 

この詩が書かれたのは、戦後20年。

 戦後73年のいま、

戦争は私たちに、近づいていないと言い切れるでしょうか。

 

たまたま手に取った

石垣りんの詩集。

そして、

たまたま目にとまった

一つの詩。

そのタイミング。

 

ちょっと呼ばれたような気がして

ここに紹介しました。

 

 この詩の中の、

海老名原さん

西脇さん

水町さん

に思いを馳せてみます。

 

戦争は体験していなくても

怖くても、

実際にこの日本で起きた出来事。

時には、自分からその事実に

向き合いたいと思います。

 

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